執筆担当
中嶋 徹(Toru Nakajima)
中小企業診断士、ITコーディネータ、インキュベーション・マネージャ
プロフィール
1961年生まれ 青梅市出身
大学卒業後、地域金融機関を経て商工会議所勤務、現在はおうめ創業支援センター常勤。趣味はゴルフと家庭菜園。
補助金は、コンペ(競争)で採択されるかどうかを決めるということは既にお伝えしました。
今回は、補助金を通す(採択させる)ためのノウハウです。
<今回のテーマ>
1.売上予測
描き方のコツ
2. 利益予測
描き方のコツ
3.財務管理のまとめ
経営者が考えるべきこと
経営者が本来考えるべきことは、会社の将来像・方向性であって、日々の資金繰りをどうしようと悩むことではありません。
売上は、思ったよりも少ない
支出は、思ったよりも多い
ということをしっかりと念頭に置き、いざというときに使える手持ちの資金(運転資金・内部留保金)を多めに用意してから起業することが、事業を継続させるポイントです。
信用は時間をかけて築くもの
時間の余裕を持って計画的に行動
このことを考えて、事前の準備をしましょう。
補助金は、コンペ(競争)で採択されるかどうかを決めるということは既にお伝えしました。
今回は、補助金を通す(採択させる)ためのノウハウです。
<今回のテーマ>
1.ノウハウ(1)
目的・審査の視点・自社の独自性
2.ノウハウ(2)
描き方のコツ
3.注意点
これだけは避けたい行動
①補助金には、必ずその「目的」があります。例えば・・・
・開業者の育成
・商店街の活性化
・創業に挑戦する機運を醸成する
・販路開拓
・業務の効率化、など
これらは募集要綱と呼ばれる注意書きに書かれていますので、必ず確認してください。そして、その目的を達成するための内容で申請書を書くことは必須となります。
②次に、「審査の視点」を知ることです。これも要綱に書かれていることが多く、審査員がどこを評価するのか、何を求めているかを知っていなければ、良い点数を取ることはできません。
視点とは・・・
必要性、実現性、妥当性、事業効果、収益性、事業の継続性、資金調達の見込み、などです。
③「自社の独自性を出す」事も重要です。同業他社との違い、独自のウリ、他社にはない特徴などを書かなければ、その他大勢に埋没してしますでしょう。
④当たり前のことですが、
「分かりやすく、心をこめて書く」ことです。
・専門用語はNG(使うなら注釈を入れる)
・専門家や他人に書いてもらうのもNG
・手書きの申請書もNG
・必要ならば写真や付属資料を付ける
⑤できるだけ「集中した内容」にすることです。あれもこれもやりますはNGだと思ってください。「これをやることで補助金の目的を達成することができます」というシンプルなものがいいと思います。
⑥最後に、「審査員も人間」です。共感を得て応援したくなるような書き方がベストです。
補助金や助成金を受けるために必死になるのはわかりますが、だからといって次のようなことは避けてください。
・起業する時期をずらす
・要件に合わせるために無駄な支出をする
・事業計画の資金調達先として盛り込む
・「何か使えるものはありませんか?」と開口一番で相談すること
このような、補助金・助成金を目当てにした起業でうまくいっている人はあまりいません。
補助金欲しさに自分を見失わないように行動しましょう!
補助金や助成金は、その情報の入手がしづらいことが特徴でありデメリットです。どのようにして情報を得たらいいのかをお伝えします。
<今回のテーマ>
1.情報入手方法(1)
国と都で分ける
2.情報入手方法(2)
奥の手
3.メリット・デメリット
両方を理解した上で行動しよう
今回は、融資制度ではなく補助金や助成金についての話です。近年たくさんの種類がありますが、間違った考えや使い方をしないようにしましょう。
<今回のテーマ>
1.補助金・助成金とは何か
違いを理解しよう
2.創業者が申請できる補助金・助成金
どんな種類のものがあるのか確認しよう
補助金・助成金で注意したいことなど
補助金・助成金と聞いて、使えるものなら使いたいと考える人は多いと思います。国や東京都を始め、様々な補助金や助成金が用意されており、近年最も充実している状況です。
ただ、経営者になるならば、正しい使い方を見に付けておきましょう。
補助金・助成金の違いです。
申込んでコンペ(審査)によって優劣を付けられて合否が分かれるのが補助金、条件や必要書類がすべて整っていれば、基本は採択されるのが助成金と言われています。
ただし、どちらも予算がありますので、その範囲を超えてしまうと終了となります。
しかし、融資と違って返済しなくてもいいのが何よりの魅力です。その魔力にとりつかれることなく、正しい使い方を身につけておきましょう。
もしも創業融資制度を利用する予定があるならば、その場になって慌てないためにも、早目の準備が必要です。
今回は、そのためのアドバイスをお伝えします。
<今回のテーマ>
1.信用を築いておこう
信用がないと借入れできません
2. 計画的に行動しよう
借入れは思った以上に時間がかかる
3.やっぱり自己資金は貯めておこう
なんといっても持っているお金が多いと有利
「個人事業と法人(株式会社)とでは、どっちが借入れするのに有利ですか?」
こうした質問に対しては、
「どちらが有利ということはありません」とお答えしています。
組織形態よりも、返済能力、経営能力、経営者の人物や人柄、それにこれまでの信用が重要です。
ビジネスは「信用」で成り立っているのですから、経営者になる人に「信用」があるかどうかは重要な要素です。
ただ、信用は時間を掛けてコツコツと積み上げるものであり一朝一夕で身に付くものではありません
たとえば、税金、社会保険料、公共料金、クレジット代金、家賃などが毎月きちんと決められた日に引き落とされているか・・・融資審査の際に必ずと言っていいほど預金通帳の動きを確認されます。
こうしたことが信用になってくるのです。
融資審査には時間がかかります。早い人でも3週間、遅い人なら3ヶ月はかかります。
支払のために、申込んですぐにお金が必要であっても、間に合わないと思ってください。ですから、それなりの時間的余裕を持った計画的な行動が必要です。
なぜそんなに時間がかかるのかというと、
・提出した事業計画のクオリティ
・数字の妥当性
・預金口座の動き
・場合によっては開業場所の現地
確認など
特に初めての融資の場合は、貸す側も慎重にチェックしているのです。
理想は、借入れをしなくても済むように起業すること。すなわち、自己資金の範囲内で始めることがベストです。
しかし、現実には借入れをしないと始められないケースもあります。特に飲食業や理美容業など、初期投資が大きい業種の場合は、借入れに頼らざるを得ない人が多いようです。
それでも、蓄えとして自己資金が多ければ、融資の審査に有利に働くばかりでなく、開業後の経営が安定します。
できるだけ自己資金を用意して、できれば総額の1/3程度は自己資金で賄うようにしましょう。
融資制度を利用するためには、事前審査を通過しなくてはなりません。
今回は、そのためのアドバイスをお伝えします。
<今回のテーマ>
1.借入をするということ
借入は「儲かること」が前提
2. 貸し手からどのように見られているか
金融機関から見た創業者像
3. 審査を有利に進めるために
何をすればよいか
まずは基本的なことをおさらいしましょう。売上から仕入や経費を引いた残りが利益です。
式で表せば、
売上-仕入-経費=利益
となります。
利益が+ならば黒字、-ならば赤字ですが、個人事業の場合は、自分(経営者)の生活費や借りたお金の返済金は、この利益の中から出さなくてはなりません。
つまり、借入れとは「儲かることが前提の前借り」なのです。
ところが現実には、上のグラフのように起業してから黒字になるまで平均で7ヶ月近くかかっています。
これは、それまでの間、生活費も返済するお金も捻出できないことを意味しています。
その間は、事業の運転資金や自分の貯蓄を取り崩してしのいでいるという事です。