執筆担当
村山 浩宜(Hirotaka Murayama)
中小企業診断士・VEスペシャリスト
プロフィール
1965年東京生まれ、地方育ち(岩手から熊本まで)
中堅商社、化粧品会社などを経て2013年独立。おうめ創業支援センターでは、水曜日・木曜日に相談員を担当している。
事業を成功させるためには計画の作成(目標の設定)が重要です。販促も同様です。
大よその年間計画を作成しましょう。
<今回のテーマ>
1.年間の動きを把握する
2.年間の計画を立てる
日本には四季があります。祝日などの社会行事や地域の行事・習慣もあります。今年であればオリンピックといった大イベントもあります。業種によっては夏場に売上が落ちるなど業種特有の要因もあります。
その場の思い付きで販促を実施しても、時間がなかったり、検討が不十分になったりして、大きな成果は得られません。
ですから、年間の生活の動きを想定したうえで、 行事や記念日に対してどのようなアプローチをするのか、年間を通してどのようなアプローチをするのかを、具体的に検討し、計画表に落とし込んでおきましょう。
効果的な購買機会をつくり出すにはどのような販促計画がいいのかを考えましょう。
例えば、売上が落ち込む時期にどの様な企画で客を呼び込むのか?新しいことを始めたくなる時期(1月や4月)にお試しキャンペーンを考えられないか?
などなど
また、飲食店では季節ごとにメニューを入れ替えたり、限定メニューを出したりしますが、これも立派な販促です。
前回までのコラムで「販売促進は設計が大切」だと言うことが少し理解できたと思います。今回はより具体的に考えてみましょう。
<今回のテーマ>
1.3Mで販促を考える、その1
2.3Mで販促を考える、その2
このコラムの読者は、創業前や創業間もない方が多いと思います。そこで今回は、自分のお店を知ってもらうための販促について考えます。
初回のコラムで3Mというお話をしました。
復習すると、
狙ったお客様に(Market)
響くメッセージを(Message)
最適な手段(Media)
で伝えることです。
具体的に考えてみましょう、例えば飲食店。
対象となるお客様は誰でしょうか?
店舗立地にもよりますが、基本的には近隣の方やお店の前を通る人になります。
では、どうやって知っていただくか?
これが手段(Media)、つまり接点です。
まずは、店舗そのもの。よく、のぼり旗を敬遠する店主さんが多いのですが、お店を知ってもらうという点では効果大です。逆に、何もないと気が付かない人が多いことを心得ましょう。
メニュー看板、これは、料理内容や価格帯を知ってもらうためのものです。看板の良し悪しは重要です。
接点としては、チラシも有効です。
商圏が広くない場合はポスティングや店頭での手配り等が考えられます。
「チラシは配ったけど効果がなかった」と言う店主さんもいるのですが、「何回配ったのですか?」と聞くと、多くの方は1回と答えます。
今はチラシが溢れているので、昔ほど効果がないのは事実ですが、1回では何がいけなかったのか反省できません。原因はMessageにあるのかもしれません。お客様に行ってみようと思わせるのがメッセージです。そこに何か欠けていた(マッチしていない)ことが考えられます。
メッセージはお店の特徴や良さを分かって頂くためのもので、言葉だけでなく写真などのビジュアルも重要です。また、分かりやすい方法として、何らかのクーポン(お得)をつけるという手もあります。
クーポンも立派なメッセージです。
ただし、以下の点には注意が必要です。
・割引ではなく、おまけを付ける方法を考える。
⇒ 割引は利益を圧迫します
・頻繁にやり過ぎない。
⇒ クーポンが当たり前になります
販促は学問ではなく、実践です。
繰り返しになりますが、狙いを持って販促を実践しましょう。
販売促進の設計とはどういうことか・・・
今回はもう少し詳しく見ていきます。
<今回のテーマ>
1.客数を考える
2.客単価を考える
前回までに3つの視点を解説しました。今回はもう少し詳しく見ていきます。
売上を分解すると大きく客数×単価になりますが、まずは客数です。
お客様と言っても様々で、その分類の仕方は色々とあるのですが、シンプルに下図で考えてみましょう。
いつものお客様と言うのは、常連さんです。あなたのお店に対する満足度が高いので、飽きさせない仕組みを考え、さらなるリピートを促したり、積極的に口コミして頂く工夫が必要です。
→ 絆を深め、他店への移行を防ぐ。
時々利用するお客様は、常連予備軍です。
リピートしてもらうためには高い満足度を与える必要があります。
→ お店のウリや特徴を強調し、良さを知っていただいて常連に育てる。
お店に来たことがないお客様。
そもそもあなたのお店を知らない人、知っているけど何となく最初の来店を躊躇している人などですが、来店のきっかけを作ることが必要です。
→ お店を知ってもらい、一度は利用してみたいと思わせる特徴をアピールする。
一般的に上の階層ほどお客様は少ないのですが、あなたのお店の課題はどこにありますか?
次に単価です。
単価は商品単価×買上点数です。これも解決したい内容によって手法が変わってきます。以下は一例です。
グレード付け販売(単価を上げる)
昔から寿司屋などで使われてきた「松竹梅」。人間の心理として「上中下」の3つがあると「中」を選択しやすいので、一番売りたい価格帯を「竹」に設定します。
また、無条件で高い物を購入する人たちは、「松」を選択するので、客単価は上がります。なお、価格を3つに絞ると選択しやすいという効果もあります。
バンドル販売(買上点数を増やす)
バンドルとは「かたまり」という意味です。商品を個々でなく複数まとめて販売する方法です。通常は1個当たりの単価が安くなるので、お得感が出ます。サロン系のお店のセット販売(回数券や○○放題など)も同様ですが、個々の単価は下がるので、お店の格が下がらない工夫が必要です。
限定商品の販売
限定品で、数が少なく手が込んでいれば、高単価での販売が可能になります。
限定品というだけで引き付けられる人が多いので、顧客へのアピールがしやすい販促手法と言えます。
販促手法については、本を読んだりネットで検索すれば色々と出てきます。
繰り返しになりますが、自分のお店の課題を明確にして、狙いをもって販促手段を決めることが大切です。
今回は前回の続きです。販売促進3つの視点、競合と自社について解説します。
<今回のテーマ>
1.販促3つの視点(競合)
2.販促3つの視点(自社)
競合で真っ先に思い浮かぶのは同業者ですが、同業以外も競合になり得ます。例えばパン屋さん。手軽に食べられるという意味で考えると、パンに限らないので、ファストフード店やコンビニも競合です。
一方、同業でも顧客層や価格帯が違うと競合にならないケースがあります。
私が働いていた化粧品業界、狙うターゲット層が違えば商品が競合することはありません。
前回のコラムで、「販促の目的は、お客様に、競合ではなく、自分のお店を選んでもらうこと」、とお伝えしました。
ですから、商圏内の競合と考えられるお店のことを知る必要があります。
具体的には、営業時間・定休日・従業員数・店舗レイアウトなどの概要、品揃えの幅と深さ、人気商品と価格帯などの商品情報、顧客層や接客レベルなどの顧客管理、どの様な販促をやっているか・・等々、競合店に直接行けないような場合でも、HPや評判など、ある程度は調べられるものです。
最後に自分のお店についてです。販促を実施する前に、現状を把握して、今回の販促で何をどうしたいのか、そして目標値を決めることが大切です。
販促の最終目的は売上(&利益)を上げることですが、売上のどこを上げるのか決める必要があります。また、生産や販売のオペレーションに問題がないか確認しておくことも肝要です。大きな販促を実施すれば、それなりの集客は見込めますが、オペレーションが追い付かず、お客様に不快な思いをさせては逆効果です。
上図は売上を分解したものですが、どこに課題があってどうしたいのかによって、販促の方法も変わってきます。
販促を実施する時は、「当店の認知度を上げる」「既存顧客の来店頻度を上げる」「いつもより一品多く買ってもらう」など、狙いを定めないと、その後の反省もできないということを覚えておきましょう。
販売促進で効果を上げるためには、狙い(目標)を定めて実施し、検証・改善していくことが大切です。今回は販促の設計について学びます。
<今回のテーマ>
1.自店の位置づけ
2.販促3つの視点(顧客)
販促を設計する前提として、まずは自店の位置づけを明確にしておくことが大切です。
自店の位置づけとは何でしょうか?
事業ドメインとも言われますが、「誰に」「何を」「どのように提供するのか」ということです。
この「誰に、何を、どのように」は、ビジネスの様々な場面で適用できる基本的なフレームワークです。
具体的には、次のような観点で整理します。
誰に:ターゲット顧客は誰か(性別や年齢、職業、収入、家族構成の他、価値観や趣向など)
何を:商品は何か、顧客に与える価値は何か
どのように:販売方法・提供方法、問題解決の方法、商品価値の伝え方
基本に立ち返ることで、
自分のお店を見直し、現状の整理ができます。
やること、やらないこと、が明確になります。
方向性が見いだせるので、ブレがなくなります。
自分のお店の位置づけを確認したうえで、具体的な販促を検討します。ここで、考えなくてはならないのが、顧客・競合・自社の3つの視点です。
何か当たり前ですが、販促の目的は、お客様に、競合ではなく、自分のお店を選んでもらうことです。
では、顧客から見ていきましょう。
ここで言う、「顧客」は事業ドメインの「誰に」をさらに絞り込んだものと考えて下さい。
つまり、今回の販促で獲得したいお客様です。
ターゲットの絞り込みというと、多くの方が、皆に来店して欲しい、買って欲しいと言いますが、全ての人にアピールする販促はありません。
例えば、お店に来たことがない人への認知を目的とするのか、時々来店するお客様の頻度を高めるのかで、手法も違ってきます。
次回は、競合と自社について解説します。
企業が存続していくためには利益をあげることが必須です。そのためには少ない費用で収益を最大化させなくてはいけません。今回のシリーズでは、実践で役立つ販促の基本的な考え方学びます。
<今回のテーマ>
1.販売促進とは何か?
2.大切な3つのM
今回のテーマは販売促進。略して販促とも言われますが、似たような意味で広告宣伝や営業などがあります。
最初に少し整理しておきましょう。
広告宣伝は「商品やサービスそのものの良さを伝えたり、イメージを伝える活動」
販売促進は「お客さまに商品やサービスを購入して頂くための『きっかけ』をつくる活動」
営業は「お客様に直接話しかけるなどして最後の決定を後押しする活動」です。
私の前職は化粧品会社でしたが、新商品の発売前から様々な媒体を使ってイメージを伝え、発売後はキャンペーンを打ってお客様を呼び込み、店頭での親切な接客で販売に繋げるという感じです。
また、マーケティングという言葉を聞いたことがある人も多いと思います。定義は色々とありますが、マーケティングはこれら一連の活動と覚えておけば十分です。
いずれにしても最終的な目的は売上をあげることです。本コラムでは、販売促進の基本について解説していきます。
販売促進の方法やツールは様々です。
例えば、チラシ、DM、イベント、店頭キャンペーン、POP、のぼり、メルマガ、ニュースレター、お試し体験などなど・・・
チラシ一つとっても、ポスティングなのか、新聞折り込みなのか、手配りなのかで、意味合いは大きく異なります。また、これをやれば必ず売れるというものでもありません。大切なのは、お客様に如何に訴えるかということです。
そこで重要になるのが3Mという視点です。
3Mとは
狙ったお客様に(Market)
響くメッセージを(Message)
最適な手段(Media)
で伝えることです。
3つのMが揃わないと、売上には繋がりません。
3Mについては改めて解説しますので、覚えておきましょう。